天台宗 普賢寺は1469年に墨田区本所の地で開創しましたが、1923年の関東大震災によって現在の地に移動して参りました。
めまぐるしい現代は、一時的な満足や幸福感を味わうことはあれども「心が豊かになる時と場」は減ってきているように感じます。
お香の香りで記憶の窓を開けたり、小鳥や木々の音に耳を傾けたり、法要や祈願で心を調えたり、苔や紅葉の鮮やかさに目が覚めたり。
ちょっとした異世界と懐かしさを感じる寺であり続けます。
仏教もヨーガもインド発祥であり、2500年も昔から相互影響をしながら発展してきました。Yogaはサンスクリット語で「つなぎとめる」という意味があり、心をつなぎとめるという意味としても使われています。
法句経という古いお経にこんな言葉があります。
『実に心が統一された(=yoga)ならば、豊かな智恵が生じる。心が統一されないならば、豊かな智恵がほろびる。生ずることとほろびることのこの二種の道を知って、豊かな智恵が生ずるように、自己をととのえよ。』(「真理の言葉」 中村元訳)
このように、仏教にもヨーガの瞑想法は受け継がれ、ヨーガは仏教の理論によって構築されました。
天台仏教では、瞑想や実践法を「止観(しかん)」と言います。
今、ここにある世界をつなぎとめることが「止」であり、心が今ここにある世界と一つになるのが「観」です。
仏教は中国、日本と伝来して独特の発展を遂げてきました。広く言えば、すべての修行法はヨーガに淵源があるとも言えますし、ヨーガの実践も仏教的であるとも言えます。
堅苦しいことを言いましたが、ちょっぴり異世界な寺でみなさんと一緒に心をととのえていきましょう!
敷地内に足を運ぶと一陣の清々しい風が吹き、いつも清涼な場所。
ヨガにいらした方々が「やっぱりお寺は気持ちがいいですね」とお互いに声をかけあっている、普賢寺はそんなお寺です。生活地域の馴染みのあるお寺だから安心という理由で初めてヨガをされる方もいらっしゃいます。
先日も、散歩中に気になって覗いてみたよ、という方が様子をご覧になり後日ご参加くださいました。
あらためて「場所」の力に背中をおしてもらっているように感じています。
コロナ禍の4月からスタートいたしましたが緊急事態宣言中もお寺のご協力をいただき人数制限をしながら開催することができ、少しづつ参加者が増えてきているのはとてもうれしいことです。
そして、皆さまの変化にも注目しています。アグラで座れなかった方が座れるようになったり、ヨガの前日は禁酒をされていたり、「地味だけど効くのよね」「“お土産ポーズ”(ご自宅でやってみてくださいと提案したポーズ)練習しました?」などと、笑い合い会話されているのを聞いて、生活にヨガが馴染みつつあることを実感しています。
また、ご住職の常寛様からいただく説法もありがたく、ヨガと仏教の親和性をあらためて実感し、皆さんが頷きながら真摯にお話を聞かれている姿もとても素敵な光景です。今後もこうしてヨガの効能と合わせて【テラヨガ】が日々の学び、そして生活の潤いになっていくことを願っています。
▲担当講師の3人。左から具嶋マキ、まつしたあき、MAKI。